挨拶

代表からの挨拶

 資源と環境制約下に突入した21世紀を生き抜くためには、次世代につなぐ新しい時代を切り拓く野心的なビジョンを仲間と創り、知恵と勇気をもって挑戦的に前進する必要があります。そのためには、様々な国・地域・業界分野・立場の異なるの皆さんが、お互いの過去の歴史や文化に尊敬の念を抱きつつ「連携・協働」を推進し、社会を変革(ロバスト化)していく必要があります。特に、北海道は日本の食を支える主要な食料生産地域であり、先進的な農林水産業が行われてきました。また、再生可能エネルギーのポテンシャルが豊富であり、エネルギー基地を目指した先進的な取組も進んでいます。人口減少が進み社会の大きな構造変換の必要性が叫ばれている中、本プロジェクトが始まったと理解しております。遅れましたが、前代表である増田隆夫先生(現在は理事・副学長)から2020年10月より代表職を引き継ぎました石井一英です。本活動にご賛同いただいております皆様とご一緒に考え、前進したいと考えております。一層のご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

 北海道大学は最重要ミッション「フードバレー構想」に基づき、農林水産業に生産工学の概念を取り入れることで食のバリューチェーンを堅牢化(ロバスト化)するための組織作りの検討を開始しました。そして、現場ニーズ対応型の農林水産工学技術を開発する研究会「科学技術先導研究会」を2017年に設置しました。さらに、翌年の2018年4月に発展的に「北海道大学ロバスト農林水産工学国際連携研究教育拠点(以下「ロバスト拠点」という。)」に組織替えをして現在に至っています。ロバスト拠点は主に農学研究院、水産科学研究院、工学研究院が密接に連携して、農林水産業のロバスト化に資する実学を目指しており、民間企業97社、研究機関および関係団体19、行政機関11、大学12校の計139機関、総勢456名(メール会員および学内会員を含む)が登録しています。なお、この拠点は農林水産省“「知」の集積と活用の場研究開発プラットフォーム“として登録され、この活動は2019年版“農業白書”の第6節で紹介されました。

 農林水産業が対象とする分野は幅広いため、ロバスト拠点では次の7つの分科会を設けて所望の目的を達成するために活動を進めています、①フィールド対応技術、②商品への加工技術、③長期鮮度保持技術、④消費者嗜好適合型の生産技術、⑤バイオマス資源化技術、⑥食のバリューチェーンの防災技術、⑦国際連携。これに加えて、ロバスト拠点の共通施設として、研究成果の検証を行う温室2棟を北海道大学の農場に設置しました。エネルギー供給は隣接する牛舎の消化槽で発生するバイオガスを利用しています。さらに、萌芽的研究を推進するために、ロバスト拠点の会員を対象に研究公募を行っています。2020年度からは、次のステップであるコンソーシアム形成型の研究への展開を図っています。

 これらの活動を通じて、農林水産業現場の問題解決や技術革新につながる研究プロジェクトを企画・策定・実施し、これにより関連産業の学問領域の創生と、技術革新による農林水産業のロバスト化、さらには農林水産業の魅力向上に寄与することを目的としています。そして一連の活動が21世紀の資源・環境制約社会を生き抜く糧になると信じています。

 最後になりましたが、現場の就労者も含め、産官学の多くの皆様が参画されますことを願っております。

2020年10月
ロバスト拠点代表 石井一英(工学研究院 教授)