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2018年06月01日

ロバスト国際農林水産工学キックオフフォーラム

2018年6月1日

報告/Report

 北海道大学では6月1日,学術交流会館講堂において,ロバスト国際農林水産工学キックオフフォーラムを開催し,本学を中心とする大学関係者,研究機関,民間企業,農林水産業従事者,行政機関など,全国から約350名が参加しました。

 本フォーラムは,名和豊春総長が,農学研究院と工学研究院の連携を軸に,本学の戦略的取組みの一つとして「ロバスト農林水産工学国際連携研究教育拠点構想」を提唱し(ロバストとは,外的撹乱に打ち勝つ強靱性の意),その活動の場として産学官連携のためのプラットフォームである「ロバスト農林水産工学科学技術先導研究会」を平成30年度から正式にスタートさせたことに伴い,学内外に広く知ってもらう目的で開催しました。

 最初に本学名和総長から開会挨拶,続いて横田農学研究院長から趣旨説明が行われた後,3名が基調講演を行いました。まず,フードバレー財団マネージングディレクターのロジャー・ファン・フッセル氏が,フードバレー財団の創立から現在までの足跡と今後について講演を行いました。次に,オランダのワーヘニンゲン大学国際協力アジア担当マネージャーのアルヨ・ロットハイス氏が,オランダのアグリフードにおけるワーヘニンゲン大学の役割について,時系列で説明しました。そして,本学工学研究院長の増田隆夫が,ロバスト農林水産工学科学技術先導研究会の設立や活動について紹介しました。

 後半は,副工学研究院長の瀬戸口剛がコーディネーターを務め,「スマート農業-技術開発と現場導入」をテーマにパネルディスカッションを行いました。最初のセッションでは,農業従事者のニーズについて,ヨス・フェルステーヘン氏(ワーヘニンゲン大学ビジネスイノベーション上席研究員),浦田祥範氏(株式会社道銀地域総合研究所専務執行取締役),松野哲氏(岩見沢市長),秋元勝彦氏(北海道農政部生産振興局技術支援担当局長)の4名が,短いプレゼンテーションの後,ディスカッションを行いました。次のセッションでは技術シーズについて,竹内徹氏(地方独立行政法人北海道立総合研究機構),野島昌浩氏(農林水産省農林水産技術会議事務局研究推進産学連携室長),野口伸氏(農学研究院副研究院長),高橋幸弘氏(理学研究院教授)の4名がプレゼンテーションとディスカッションを行いました。

 最後に,パネリスト全員が参加し,国内外の農業のスマート化を進めていく上での課題の抽出や解決策について活発な意見交換が行われました。 最後に,オランダ王国大使館のエバート・ヤン・クライエンブリンク農務参事官の閉会挨拶により,会は成功裡に終了しました。

 今回のフォーラムでは,定員250名を大幅に上回る参加者があり,産学官連携のためのプラットフォーム形成に対する関心の高まりが示され,本研究会の今後の発展を考える上で有意義な時間となりました。このフォーラムをきっかけに,農林水産業の従事者と関連企業,試験研究機関,北大内外の研究者が更に連携を深め,北海道をはじめ日本全国の農林水産業ロバスト化の促進へ繋がることを祈念します。