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2019年11月10日

地方型水素社会を目指した「地域資源を活用したエネ事業」(脱炭素型地域づくり検討事業)キックオフミーティングおよび勉強会を開催

2019年11月11日 - 12日

 ロバスト農林水産工学研究開発プラットフォームが八雲町(北海道二海郡)と連携して行う、地方型水素社会を目指した「地域資源を活用した再エネ事業」(脱炭素型地域づくり検討事業)が今年8月、環境省の競争的資金(脱炭素イノベーションによる地域循環共生圏構築事業)の「地域の多様な課題に応える脱炭素型地域づくりモデル形成事業」に採択されました。

 これを受け、ロバスト農林水産工学国際連携研究教育拠点と八雲町は、11月11日、八雲町役場会議室において、「環境省FSキックオフミーティングおよび勉強会」を開催しました。当事業に関わる八雲町職員、民間企業、行政機関、北大関係者ら50名が出席しました。

 最初に「環境省FSキックオフミーティング」を行いました。藤牧直人八雲町商工観光労政課長の挨拶の後、脱炭素型地域づくり検討委員会のメンバー紹介と規約の承認が行われました。続いて、脱炭素型地域づくり検討事業について、その背景、地域が目指す地域循環共生圏の姿、調査内容、実施体制、今後のスケジュールの説明がありました。

 続いて、「水素エネルギーの地方活用へむけた勉強会」を行いました。まず初めに、増田隆夫北大工学研究院教授(ロバスト研究会代表)が、本プロジェクトの概要説明を行いました。次に、岡田佳巳千代田化工建設株式会社技術開発ユニット兼水素チェーン事業推進ユニット技師長が「水素の貯蔵・輸送技術について」、西村睦国立研究開発法人物質・材料研究機構経営企画部門長が「高密度水素キャリアからの高純度水素抽出ー燃料電池システムへの応用を目指してー」、河村典彦パナソニック株式会社アプライアンス社スマートエネルギーシステム事業部グローバル水素事業推進課長が「燃料電池(水素を利用した発電機)について」の表題で発表を行いました。

 休憩を挟んで、石井一英北大工学研究院教授が「八雲町における水素の利活用と事業化」、丸田昭輝株式会社テクノバエネルギー・水素グループマネージャーが「地方型水素社会への期待」の表題で発表を行いました。各企業の水素社会の実現に向けた技術開発が紹介され、八雲町での脱炭素地域づくり、更には日本全体の脱炭素化の未来が描けるような有意義な勉強会となりました。

 翌12日は、水産科学研究院陸上養殖施設と研修牧場建設予定地を見学しました。八雲町熊石地区にある水産科学研究院陸上養殖施設では、海洋深層水を利用した陸上養殖の方法や利点、今後の更なる可能性について現場職員の方から説明を受けました。水槽ではソイ類(魚)、ウニ、ダルス(海藻)が養殖されており、海洋深層水の驚くべき効果を実際に見ることができました。今後、単価が高く需要のある魚種を低コストで育て、またダルスの陸上での完全養殖を実現するのが目標とのことでした。

 続いて、上八雲地区の研修牧場建設予定地を見学しました。建設予定の牧場は、草地面積約300ヘクタール、搾乳牛頭数440頭の規模で、令和3年4月に完成予定とのことでした。令和元年6月に設立された株式会社が核となり、育成預託、生産、研修など、町の農業振興の促進がねらいとのことでした。見学会の参加者は、現場担当者に様々な質問を行うなど、水素社会の実現への関心の高さが窺えました。今回のキックオフミーティングと勉強会および見学会は、関係者が本事業の成功に向け一丸となって取り組む決意を確認した、意義深い2日間となりました。