光透過性を有する真空断熱材の温室への導入可能性に関する実験的検討(2020年~)
研究代表者 葛 隆生(工学研究院)
背景・目的
温室などの園芸施設の冬季の活用は農業従事者の収入増大をもたらし、これにより農業の発展に繋がるものと考えられます。一方で、特に北海道のような寒冷地では冬季の外気温度が低く、園芸施設内部を保温するための燃料費が大きくなります。そのため、太陽光を取り入れることが可能な光透過性を有し、なおかつ高い断熱性能を有する安価な材料を適用し燃料費を削減することが課題となっています。そこで本研究では光透過性を有する真空断熱材を、園芸施設に適用可能にすることにより、上記課題を解決することを目的としています。
研究の目標
研究期間内で達成を目標とする成果を以下の通り設定しました。
- 試作した真空断熱材について、熱伝導率(断熱性能):0.015 W / (m・K)以下、光透過率(光透過性):65%以上、半年間における熱伝導率の増加割合(耐久性):20%以内
- 冬季(11月~3月)における真空断熱材の壁面、天井面の適用時において、各面における熱損失(熱貫流率) 2.0 W / (m2・K)以下、また冬季におけるその性能の確保
研究の概要
本研究においては、②の目標に到達するため、以下の研究内容を実施しました。
- 温室に適用可能な光透過性を有する真空断熱材の試作および選定
芯材の構成や外袋、吸着材などの仕様を変更した光透過性を有する真空断熱材を複数枚試作し、断熱性能・光透過性・耐久性を評価する実験を実施する。これらの性能とコストを含めた総合評価を行い、最も優れた真空断熱材を選定する。 - 真空断熱材の温室への導入実験
選定した真空断熱材を用いて、真空断熱材を壁面、天井面に適用した空間(箱)を製作し、それを温室内に設置する。そして空間内の環境や断熱材の性能を評価する。