ロバスト連携プロジェクト

脱炭素地域づくり検討事業

令和元年度脱炭素イノベーションによる地域循環共生圏構築事業のうち、地域の多様な課題に応える脱炭素型地域づくりモデル形成事業

地域資源を活用した環境社会調和型の再エネ事業・FIT買取期間終了後の再エネ活用事業の実現可能性調査を行う事業について、八雲町と北大(共同申請者、ロバスト第5分科会)が補助事業者として採択されました(2019年8月16日付で採択決定、8月19日公表)。

公募説明資料より抜粋
課題
  • 豊富ではあるが地域課題でもあるバイオマス資源の活用
  • 地域で生産するエネルギーの受皿問題
  • 災害への対応も含めた地域分散化への取り組み

            ↓

  • 電力の水素変換による電力網の補完の検討
  • 水素輸送ビジネスモデルの検証
  • 様々な資源の相互連携による事業拡大の検証
検討のポイント
  • 地域循環機能を実現するためには、エネルギーの“地産地消”の仕組みづくりが大前提であり、地域の裁量においてコントロール可能な“独自のエネルギー源”と“独自のキャリア”の獲得が最重要である。
  • また現段階において、採算性を勘案すると需給のミスマッチが想定されるため、“大規模需要家の設定とその必要性”に関して住民合意が図られる構図が必要である。

八雲町「脱炭素型地域づくり検討事業」総括

本事業における“八雲町モデル”

本事業において検討・推理を進めた結果、喫緊の脱炭素地域づくりにおいて現実的なモデルとして、

  • 町が進めている酪農研修牧場におけるバイオマス施設を核として「バイオマス産業都市構想」で想定している3ヶ所のバイオマス施設を主たるエネルギー源として設定
  • 地産地消に係る設備コスト、運営コストを考慮すると地域レベルで現行の電気料金と少なくともイーブンとなるまでのコストダウンは現時点では不可能である。この為、脱炭素社会への普及啓発、さらには非常時のセーフティネットの視点から公共部門(特に重要な役場本庁舎+支所)への導入を設定

上記需給の条件をベースにキャリアについて推計・検討した結果、蓄電池を主体とした循環システムが現実的であると設定した。

★再エネ発電量目標   2,111 MWh / 年
 町研修牧場を含む酪農系バイオマス発電
★キャリア設備導入額  約5億1,000万円
 蓄電池循環システム
★想定需要量       288 MWh / 年
 役場本庁舎+2支所庁舎への率先導入 

“八雲町モデル”の実現に向けて

◆環境保全の視点

  • 地域課題の一つである牛ふん等のバイオマス資源の活用が進み、エネルギー・液肥としての利用が促進すれば、環境保全型の酪農業のブランド力と生活環境が向上する。
    →ふん尿由来の温室効果ガス発生抑制と液肥利用による輸入飼肥料の大幅削減が可能
  • 八雲町2013年度比のCO2排出削減の寄与は大きくないが、2030年度公共施設においてフェーズⅡの発電量ベースでは、CO2削減目標(40%)を大きく上回る75%削減となる。
    →八雲町のさらなるCO2削減においては、エネルギー消費の大半を占める石油類の消費削減や省エネ設備の導入促進など様々な手立ての複合的な対策が必要
    →将来的にMCHを導入した場合、同時発生する熱利用や給湯・暖房の電化を推進することによりさらなるCO2削減が可能となり、今回の検討の意義は大きい。

◆エネルギー供給・需要構造の改善の視点

  • 化石燃料の輸入に頼らず、さらに大手電力会社の電力網に頼らない(=自らのコントロールによって)地域の安定したエネルギー基盤の確立は地方創生や非常時のセーフティネットという視点から備えておくべきシステムである。
    →短期的には、実現可能性の高い独自電源(4カ所のバイオマス施設)とキャリア(蓄電池)による非常時のセーフティネットの構築は、費用対効果を考慮しつつも近年の自然災害(先般のブラックアウト)の発生状況からも優先度の高い施策である。
    →中長期的な視点では、MCHによる水素利用の優位性と、スケールメリット(頭数規模)を提示できた意義は大きい。国内の水素関連技術やコスト動向を見定めていくことが望ましい。

◆地域振興の視点

  • 町内への導入・普及には地域の経済的な効果の発生がなによりも重要である。
    →短期的には、公共部門での導入を想定し、蓄電池の規模や具体的運用方法のさらなる検討に基づきコストダウンを検討し、町民理解の促進に努める。
    →中長期的には、MCHの実証試験を通じ、技術・コスト課題を克服し、既存の化石燃料関連事業者らによる新たな民間事業モデルへと発展することにより、将来の主要な地域産業になり得る。
新たなエネルギーシステム導入にあたっての今後のステップ 

★ 町民理解の促進
★ 町内全体を見据えた地産地消型のエネルギーマネジメントのさらなる検討

共同プロジェクト
共同プロジェクトの
概要